ユリウス暦について
ユリウス暦とは、今から約2050年ほど昔(正確には紀元前46年)に制定された、ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)が政敵を追ってエジプトを訪れた際、王妃クレオパトラと出会い、当時のエジプトに存在した「シリウス暦」を元に、彼女と二人で協力して作り上げたローマ標準の暦の事である。
また、現在我々が使っている暦は、ユリウス暦に、うるう年の若干のズレを補正する但し書きをつけた「グレゴリオ暦」と呼ばれるものである。
当時、シーザーはその戦線を拡大させるにつれ、軍令を発する際の日時表示に苦慮していた。占領下の国々はそれぞれ独自の暦を持っており、軍を、統一した日時で動かしたい場合、その日時はそれぞれの国の暦に合わせなければならなかった。
このような不具合は軍に不利益をもたらす為、シーザーは早急に全ローマ的な標準の暦を作る必要に迫られていた。
一方、当時のエジプトには、世界有数の数学者や天文学者達が集っており、新しい暦を作る際には、彼らような優秀な科学者達が何を置いても必要不可欠だった。
シーザーは政敵を追うのと同時に彼等科学者達の協力を得るため、エジプトへと入った。
エジプトの入り口には白く輝くピラミッドがそそり立ち、当時の人々はその技術力に心から圧倒された事だろう。更に、彼等の時代にはまだ神々が生きており、そこから神話と科学の融合した、実に美しい暦が開発されることとなった。以下はその仕組みである。
重要なポイントは、まず、惑星は神だということである。
プラトンの時代に考案された天球という考え方は非常に重要な神秘学的意味を持っている。
天体観測を続けると、多くの星(恒星)は北極星を中心に東から西に向かうが、例外的に西から東に向かったり、天空の星の動きに同調しない星が存在した。それが<惑星>である。
そもそも惑星(planet)の語源はギリシャ語の放浪者(planetai)であり、天空をふらふら動き回る星という意味である。
当時の高度な天体観測技術によって天空には7つの惑星があると考えられ、それが「月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星」であった。ここには衛星と恒星が含まれているが、当時は天体は地上に影響を与える「神」であると考えられていた為、衛星、恒星という考え方は科学的というよりは、不必要な考え方であった。月も太陽も神としての惑星としてその一列に加えられていたのである。
また、地球を中心に考える当時の天動説では、地球に近い順に惑星を並べて考えた。故に、我々に馴染み深い水金地火木…の順ではなく、月水金日火木土、と、天動説の考えに則り地球を中心に地球からの距離によっての順番で惑星を並べた。これは逆に「土木火日金水月」という逆並びになることもある。後で説明するが、この並び方は非常に重要な意味を持っている。
天王星から先が無いのは肉眼で観測できなかったからであるが、当時の神秘学的考え方に則れば、肉眼で観測できない天体は人(地上)に影響を与えない、すなわち<顕現していない神>は影響も無い、という意味であった。
故に、当時の宗教的儀式のようなものは基本的にこの7惑星を使って行われる。また、ここから7という数字が聖なる数として崇められることになる。
この7惑星がどうして天空の星と異なる動きをするのか、その問いを発したのがプラトンであり、論理的証明を目指したのがその弟子達だった。
プラトンとその弟子は天球という考え方を導入する事でその問題の解決をはかった。それは、例えば地球があるとすると、そのまわりを幾層もの透明な球体が覆っており、一番手前の球体には月があり、次の球体には水星があり(註:古代ギリシャでは月の次に太陽だという説もあるが、ここでは便宜上水星とする)、最終的に一番外側に星座と星のそれぞれの天球があるとした。それぞれの天球はそれぞれの法則で動いて(回転して)おり、これで惑星がフラフラと動き回る理由付けをしたのである。
また、この天球は人間の魂の性質に影響を与えるともされ、銀河の彼方から地球に降臨してくる魂に、それぞれの天球の性質を付け加えるとされていた。
その際に重要になるのが惑星の位置であり、これが占星術のアスペクトの考え方に繋がっていく。どの惑星がどの位置に存在すると、どういう性質の魂になるか、という星占いは、当時の最新の科学に則って考えられたものなのである(もちろん現在では非科学である。現実には天球など存在しない)。
この、惑星がそれぞれ位置している天球には神秘的な支配力が有るとされていた。
一つは先に書いた外宇宙から地上に飛来する人の魂に対しての影響力であり、もうひとつは地上世界に対しての影響力である。
それぞれの惑星は地上世界(地球)に対して神秘的な影響力を持つとされたのであるが、その影響力は時間によって配分され、それは、以下のような法則に則って組み上げられていた。
午前 零時「土星」 1時「木星」 2時「火星」 3時「太陽」 4時「金星」 5時「水星」 6時「月」 7時「土星」 8時「木星」 9時「火星」 10時「太陽」 11時「金星」 12時「水星」 13時「月」 14時「土星」 15時「木星」 16時「火星」 17時「太陽」 18時「金星」 19時「水星」 20時「月」 21時「土星」 22時「木星」 23時「火星」 翌日 零時「太陽」 1時「金星」 : 以下、このローテーションが続く。
上記ローテーションが、惑星が地上を支配する順番である。見れば分かる通り、前に書いた「土木火日金水月」の並びで、一時間ごとに地球から遠い惑星順に支配力が移動する。
そして、良く見て頂きたいのが午前零時の支配惑星である。初日の午前零時の支配惑星は「土星」、翌日の午前零時が「太陽」、以下、このローテイションを繰り返すと「月」、「火星」、「水星」、「木星」、「金星」、「土星」、「太陽」となっていく。
おわかりだろうか。これはつまり「月火水木金土日」であり、その日の午前零時の支配惑星がその日の支配惑星になり、それが「曜日」としての概念に繋がるのである。
更に、月齢から作られた一月が季節が一回りするまでの12ヶ月で一年の暦が生まれたのである。以上がユリウス暦の簡単な解説である。
実は、初めに書いた「カエサル(シーザー)がクレオパトラと協力してこの暦を作った」という話は歴史的根拠があるのかどうか全く不明であり、私の想像でしかないのだが、努めて論理的に考えて、当時の政治的中心人物二人が只単に恋愛感情だけで結ばれたとは到底考えにくいと思うのである。
私の個人的考えでは、政治的理由からクレオパトラに協力を求めたシーザーにクレオパトラも快くそれを引き受け、様々な作業を通じてお互いの才能や魅力に目覚めた結果、純粋に恋に落ちたのだろう、と考えるのが自然な気がする。クレオパトラが国を護る為にシーザーに身を委ね、それをシーザーが受け入れた、というお話は、私はどうにも納得がいかない。
そもそもその程度の女(つまり一国の命運を自分の性的魅力に賭けるような浅はかな女)に、放蕩の限りを尽くし、40過ぎになってやっと覚醒したシーザーという人物が政治的責任を背負った上で魅力を感じるとは思いにくい。クレオパトラという女性は、恐らく外見以上に内面的魅力に溢れた人物だったのだろうと思うのである。
この文章はアチョ夫の記憶と憶測に基づいて書かれたものであり、なんら、学術的意味合いを持つものではない。真実とかけ離れた記述があっても当方は責任を負わない。気になる方は御自分で研究して頂きたい。
長文にお付き合い頂いたことを、心からお礼申し上げたい。尚、この文章に対しての質問は受け付けない。(質問されてもこれ以上のことは多分語れない(笑))。以上、あしからずご了承願いたい。