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血液型占い基礎知識

ここでは日本では大人気の血液型占いのルーツからその当たる理由までの基礎的な知識を公開します。

血液型占いの歴史を知ることはこの占いを行う上で、極めて重要だと思われます。

血液型性格判断の歴史

血液型性格判断のルーツを探ると意外に古く、ギリシャ、ローマ時代に遡る。

当時の宗教的背景から、四元素(地水火風)を人体に対応させてその性格を判断するという考え方があり、その説は人体の中の体液「黒胆汁」「粘液」「黄胆汁」「血液」のバランスからその性格や健康を考える、というものであった。

そもそもは医学の方向からのアプローチであり、これは後にホルモンのバランスというれっきとした医療に通じる道に繋がっていく。

しかし、その後西洋人の人種差別的意識、あるいは白色人種優秀説のようなものがこれに加わり、血液型が他民族を差別的に扱う為の口実に使われ出し、その偏見を打破する為に日本で血液型の研究が始められた、という話もある。

現在これらの統計(血液型と気質の関係)には何の意味も無い事が後の研究者によって証明されている。もちろん白人だろうが有色人だろうが血液型による優劣は存在しない。

今現在良く知られている血液型性格判断は実は日本で開発されたものである。

そもそもは現在の御茶ノ水女子大の前身、東京女子高等師範学校教授だった「古川竹二」の学説「血液型気質相関説」がルーツであり、これが現在の血液型性格判断の原型である。

詳しい話は割愛するが、古川は各血液型ごとに気質との相関関係の統計をとり、それによって「O型とB型は能動的(アグレッシブ)」「A型とAB型は受動的(パッシブ)」だという結果を導き出した。また、現在の血液型性格判断に言われるAは神経質、Oは意思が強い、などの各血液型の性格もここで生み出された。

しかし、後の研究者の追試ではこれを支持できる結果は得られず、それどころか、古川の統計には数量的表記が無く、すなわちどういった統計でこの結果が導かれたのか、判断する事ができなかった。

その後も古川は統計の詳細を発表せず、この「血液型気質相関説」は、学説としては全く評価できない中途半端な説となっってしまったのである。

結局、1933年(昭和8年)3月の岡山医科大学で開催された日本法医学会第18次総会における議論を最後に古川の「血液型気質相関説」は急激に下火となったのだが、1971年(昭和46年)に、能見正比古、俊賢(としたか)父子により、この説が拡大解釈された内容の書籍が発表され、それが再び一般に広められてしまうのである。これが現在に至る血液型性格判断のルーツである。

血液型性格判断が当たる理由

なぜ血液型占いは当たるのか。それをこれから解説したい。

非科学、または偽科学とまで言われた古川説だが、これが当たる事実があるのは言うまでもない。

では、なぜ当たるのか、その理由を以下に書いておくので、心して読んでいただきたい。

もちろん、血液型と気質が無関係である事は何人もの心理学者、科学者が証明している。当たる理由は別にあるのである。

当たる理由1:フリーサイズ効果

例えば、体が小さい人も、体が大きい人も、フリーサイズの大きめの服なら同じように着られる。それと同じように、楽天的である、と言った場合、実はこれは、血液型に関係無く誰でもが持ち合わせている性格なのである。

神経質である、にしても同じである。神経質な部分を持たない人間など、存在しないのだ。意思が強い、にしても、全て他人の意思で行動する人間などいないし、自己中心にしても、自分の事を考えない人間はいない。

すなわち、血液型性格判断の性格付けは、一見特徴(特長)のように思えるが、読んだ人全てがその性質を持っているため、当たっている、と勘違いしやすいのである。

これは言いかえると、

「A高校に行く者は皆、基本的には10代である」
「B高校に行くのは、ほとんどが入学試験に受かった者である」
「O高校に行くのは大抵、中学を卒業した者である」
「AB高校に行くのは国語を勉強した者である」

と言っているのと同じ位、当たり前の事を、さも特徴(特長)のように表現しているに過ぎない。

読めば分かるが、上記の例でAをOに、BをABに換えても、どちらでもこの分類は正しい。

故に、血液型性格判断は当たる。

当たる理由2:ラベリング効果

上記の説明を読んで、納得できない方、あなたは既に自分で自分の性格を制限している。

例えば、血液型で意思が弱い、とされたとする。好きな人が出来て、告白さえすれば付き合える、しかも自分はそれを望んでいる、とする。その時、告白できなかったとして、自分はA型だから意思が弱くて…と自己弁護する人、それは、自分を無意識のうちにA型の枠にはめて考えて自分の行動を無意識に制限しているか、それを<言い訳>にしている人だ。

極端に言えば、血液型を信じたせいで、自分の行動を制限してしまい、結果としてチャンスを失ったか、あるいはそれを言い訳とすることで自己弁護をしたかっただけ、ということになる。これらが繰り返されれば結果的にその人間は<A型の性格>を<実現してしまう>ことになる。

Aの性格を信じた者は、A以外の要素を見失う。故に、Aだからこうだ、というラベルを自分に貼って、あるいは周りから貼られて、結果、そういう性格に自分からそのラベル通りの性格に<なっていく>のである。

こうしてレッテル(ラベル)を貼ったり貼られたりしながら血液型性格判断は益々当たるようになる。

当たる理由3:インプリンティング効果

刷り込み、という言葉をご存知だろうか。例えば、カルガモの雛が初めて見たものを親と思う、すなわち親として刷り込まれる、というものだ。

この場合、雛に人形のカモを見せても、雛達は疑いも無くそれを親だと思い込む。本能的に、初めて目で見たものをそれが何であれ親だと刷り込まれるからである。

これと同じように、A型の特徴(特長)というものを見せつけられるとその印象が刷り込まれ、結果それ以外の特徴(特長)がその個人の中にあるにもかかわらず、発見できなくなってしまう。

すなわち、刷り込まれたA型のパターンでしかA型の人間を見る事が出来なくなってしまうのだ。それはまるで人形を本物の親だと勘違いしているカルガモの雛たちのように、イメージに疑いを持つ事ができなくなる症状であり、いわば、思い込みで人を判断する事になるのである。そうすると、先に説明したラベリング効果により、その人はその血液型のレッテルを貼り、結果また血液型に殉じた人間が出来あがることになる。

こうして更に、血液型性格判断は当たるようになっていく。

結論

以上のような理由から、血液型性格判断は、そもそも何も根拠が無いにもかかわらず、それを信じた人間の思い込みや行動から次第に当たるようになっていく。

これは、オイルショック時にトイレットペーパーが本来十分存在していたにもかかわらず、それが無くなるというデマを信じた人達の買占めで本当に店頭からトイレットペーパーが無くなった事件と同じ現象だと言える。

これを専門用語で「自己成就」または「予言の自己成就」と言う。これに逆らえる人間は少ない。また、逆らっても周囲がその予言(例えばA型のあなたはこの時こうなるだろう、というような仮定的な予言)を成就してしまえばそれは真実になってしまう。こうした理由から「血液型性格判断」は<当たる>ことになるのである。

賢明であるならば、自分の可能性を制限するような生き方は選びたくないものであるし、他者の性格を決め付けるような性格判断は努めてしないように注意したいものである。

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