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幻想自警団通信文Z

笑魔喚起

ここでは幻想自警団としては珍しい、複数人で行う儀式魔術を紹介する。

笑魔喚起の準備

まず、人手を集める。最低で三人は必要だが、人数を増やすことは問題ない。ただし、術者は常に二人で、それ以外は全て依代(よりしろ)となる。

次に、術者と依代との位置を確定する。術者と依代は必ず対面して位置し、その間は一本のラインで完全に分断されていなければならない。原理的には術者と依代が隔離された状態で尚且つ対面していれば問題ないので、術者をなんらかの円陣で囲ってしまってもよい。理想的には術者と依代の両者を円陣などで囲うのが良いが、そこまでしなくても両者が明確に分断されていれば問題は無い。

また、術者は依代よりも上位に位置しなければならない。そのため、ひな壇のようなものがあればそれを使って術者は依代より一段上に立ち、無ければ依代には床に直接座ってもらう。依代を椅子に座らせても良いが、その場合はやはりなんらかの形で床より一段高い位置に術者を立たせる必要がある。

依代は何人いても良いが、必ず術者と対面させ、その間を一本のラインなどで完全に分断しておくことだけは絶対に忘れてはならない。術者と依代の距離は声が良く聞える範囲で、近過ぎない(手で触れない)ことが条件である。

早い話が、依代が術者をある程度の距離から見上げるような状態を作るということである。場所は上記条件を守れるなら、室内、屋外、どこでも良い。

笑魔喚起の実践

術式は、術者二人と依代となる人達で行う。まず初めにその場にいる全員で<鎮魂の十拍>を行った後、術者は依代に「それではこれから笑魔喚起の術式を行います。皆様は決して無理に笑ってはいけません。いいですか、絶対に無理に笑ってはいけませんよ」と注意を促した後、術式を始める。

まず、術者Aが術者Bに対して話しかける。次に、術者Bは術者Aに対して返答する。ただし、この時の返答は術者Aが放った言葉とは全く関係の無い、脈絡の無いものとしなければならない。

そして術者Aは術者Bが放った言葉に対して、同じように全く関連性の無い、脈絡の無い言葉で返答する。

具体的には以下のような会話(のような雰囲気の無意味な発声)となる。

A:「こんにちは」

B:「おかずはハンバーグです」

A:「良い天気ですね」

B:「味噌汁が飲みたい」

A:「昨日は雨でした」

B:「和食が良いです」

以上のようなやりとりを延々と続けていく。ここで意味の有る会話を成立させてはならない。万が一「良い天気ですね」という言葉に「そうですね」と繋げてしまった場合はまた初めからやり直しとなる。以後、成功するまでこれを繰り返す。

上記作業を延々と続けているうちに<笑魔>が依代に喚起され、依代が笑い転げたら術式は成功である。これによって術者は笑魔を呼び出すことができるようになり、依代となる他者を笑いに導くことが可能となる。

術式が成功した後には術者は依代に向かって一礼し、「ありがとうございました」と発声した後、依代が拍手をして全員正気に戻る。これで術式は全て終了である。

追記

上記は幻想自警団では非常に珍しい複数人での儀式魔術なのだが、笑いを喚起するという善良な術式であるため、例外的に使用が許可されているものである。基本的に幻想自警団では他者への施術は禁止である。

以上である。

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