およそ<オカルティスト>と呼ばれる者は、多かれ少なかれ<不条理>を探求するものであり、また、その<不条理>こそがオカルトの本質であると言っても過言ではない。
この不条理のことを数学的には「アノマリー」と言うのだが、数学的にこれを解析し、アノマリーの裏に隠されていた関数を導き出すと、結果としてこの宇宙が11次元の世界であることや、物質が極小の輪ゴムのようなもので構成されているというようなことが判明したりすることがある。
つまり、不条理でありながら再現性を伴う現象には、未だ発見されていない法則や理論が<隠されて>おり、この<隠された理>のことを総称して我々は<オカルト>と呼ぶのである。
古代世界においてこの<隠された理>の最たるものは<天文>だった。なぜなら当時、理由は不明ながら星の動きと気象とが関連性を持っていることが<アノマリー>として認知されており、それを解析して理論化した結果、天文学が生まれたのである。すなわち、<アノマリー>は一見不条理な関連性を見せるものであるが、それを分析すると新しい法則や理論が発見され、それが次の世代に伝承されることによって人類の知性的進化が促進されるとも言えるのである。
ところで、この<アノマリー>という言葉は、一見オカルトとは関連性の無さそうな<株の世界>でも一般的に使用されている。そこでもやはり、理屈はわからないが再現性がありそうな法則として、相場師の間で語られ続けて来たいわば一種の<迷信>を総称するものとして<アノマリー>という言葉が使用されている。
我々幻想自警団翰林院は、いちオカルトの探求者としてこの迷信を西洋占星術の視点から読み取り、ここでその不条理のオカルト的な解釈を試みたいと思う。
このアノマリーを占星術的に操作できれば、我々はまさに<相場を占う>ことができるようになり、それが真実かどうかは別として、新たにひとつの<オカルト的幻想>を創出することができると思うのである。
ただし、もちろんそれは<幻想>であって、それで株を買ったとしても、損益の責任は取引の当事者にあり、幻想自警団翰林院はその結果に一切関与していないことは言うまでも無い。当然、特定の株価を保証するものでもない。株の購入はあくまで自己責任であり、幻想を信じて株の取引を行うかどうかはまた別の話なのである。
以上、ご了承願いたい。
西洋魔術の根幹は基本的に三本の柱から構築されている。ひとつはタロット、ひとつはカバラ、そしてもう一つが西洋占星術に関わるところの<ギリシア・ローマ神話>のイメージ群である。
もちろん詳しい人間から言わせればここにエジプトの神々や鉱物のイメージなどが加わることも指摘されるだろうが、 ここではそれは取り扱わない。問題は曜日の解釈に集約される。
およそ<曜日>と呼ばれるものがなぜ存在するのかと言えば、それは天体が神であるという考え方の延長だからだと言える。詳しくは別章の記述を読んで頂きたいのだが、基本的に現在の<時間の考え方>は古代エジプトにおける<シリウス暦>を元にした、ユリウス・カエサルとエジプトの科学者が構築した天体観測を元にした<統一暦>によるものである。
この中で時間は惑星(神)に支配されており、その午前零時からの一時間を支配する神がその日の支配神とされ、それがそのまま曜日の概念に繋がっていく。
その支配神とはつまりうさぎ、レイ、亜美、まこと、美奈子、であって、その影響力が出現する場が地上の場、つまりは地場なのである。
さて、ここから各支配神の性格から考えられる曜日のイメージを捉えていこう。
まず、うさぎであるが、彼女はそもそも「セレニティ」と呼ばれる月神であり、西洋魔術においては調和や媒体の象徴である。言ってみれば現在そこにあるものを抽出し、正しく映し出すメディアのような存在であり、強い主体性を持たないことが特徴である。
そこから月曜日の性格は常に受身、受信、情報の表出、などであり、株相場においては様子見のいわゆる「月曜ボケ」な展開になりやすい。なぜかというと、ここではまだトレーダーは情報を収集している段階であり、打って出るだけの主体性をまだ確立できていないからである。
次にレイであるが、彼女はマーズと呼ばれる戦闘の神の化身であって、破壊を司る神である。また、強い主体性を持つことも特徴であるが、反面突発的な災難を象徴する神でもあり、基本的には凶星である。故に争いの結果どうなるかは騒乱の後でしか確認できない。
そこから火曜日の性格は主体的、攻撃的、破壊的なものになりやすく、結果として株相場においてはアップダウンの激しい荒れた相場になりやすい。ただし、戦争特需と呼ばれるような景気の向上も考えられ、マーケットの波にうまく便乗できれば勝利する確率が高い曜日でもある。
それから亜美であるが、彼女はマーキュリーと呼ばれる水星の神であり、知性と知識、情報処理を象徴する神である。彼女はどちらかというと文官であり、情報に則って行動することを好み、中立的である。故に暴走も停滞もせず、冷静な分析からの論理的結論に至りやすい。
そこから水曜日の性格は冷静沈着、しかしながら勝負所では打って出るような策士タイプの動静になりやすく、結果として株相場は全体として向上するが、引き際も潔いものになりやすい。故に月曜から火曜までに収集された情報によって相場が変動するような論理的な傾向にあると言えるだろう。
次にまことであるが、彼女はジュピターと呼ばれる創造神の化身である。分かりやすく言うと、彼女は他の神々の保護者であり、親代わりの存在である。故に最も強力な吉星として扱われる。
そこから木曜日の性格は懐深いものになり、株式相場としてはそれまでの各曜日で展開された相場の波が集約されて統一されたような結果になりやすい。つまり、好景気ならその週で最も好調な相場になりやすく、不景気ならばそれなりの相場となる。いわば<子供の責任を親が取る>ような相場になると思われる。水曜日と違うのは、水曜が論理的に展開するのに対して、木曜日は責任を取る形での変動が起こりやすいということである。故に、一箇所の不祥事からその責任をマーケットが取らざるを得なくなるような傾向も考えられる。ただ、基本的に吉星であるので、それが負債であれ、利益であれ、<財産を形成する>曜日であることに間違いは無い。
最後に、美奈子であるが、彼女はビーナスと呼ばれる美の女神である。官能と感情を司り、黄金率に従って芸術を司る女神である。反面、恋愛の象徴でも有り、もちろん不倫や離婚、失恋などのイメージもある。
そこから金曜日の性格は、熱しやすく覚めやすい愛人のイメージと重なり、初めが良くても結果的に暴落するような相場を形成しやすいと言える。つまり、寄りが高く、大引けが暴落するといういわゆる「寄り天井」な相場になりやすい。また、離縁のイメージから、この曜日で手仕舞いするトレーダーが増えることも想像できるだろう。
以上、曜日と株式相場の関係性のアノマリーをオカルティックかつオタキックに解釈してみた。上記はもちろんジョークであって、真実ではない。ただ、幻想としては面白いものだと言えるのではないだろうか。
蛇足だが、現実問題として金曜日に手仕舞いするプロのトレーダーが多いのは、月曜日に倒産が発表される企業が多いからである。なぜ月曜日に倒産が発表されるかといえば、マーケットの閉まる金曜日以降に倒産の処理を行うことで投資家へのダメージを減らせるからである。また、土日は役所の休日であるため、書類の処理が通常より二日ほど遅れる為、その分残務の処理を行う時間が稼げるのである。以上のような理由から金曜日と月曜日の相場は低迷しやすいのである。
また、火曜日の信用買いは株の受け渡しの時間差からマーケットの開いていない土日の分の信用取引きの借方金利を負担しなければならないため、それを避けるために手仕舞い、あるいは返済売りを行うトレーダーが多く、この結果相場が荒れる。以上のような理由がおそらく曜日のアノマリーの裏の関数的要素だと、リアルな部分では考えられるのではないだろうか。
もちろん、この理屈でさえ、仮説でしかないことは言うまでも無く、未来の株の相場は神ですら知り得ないことだろう。