占いと魔法とオタク
幻想自警団通信文Z

騙されないために

<魔術師>と<奇術師>は同義である。オカルトに関わればいずれ<トリック>に出会うだろう。しかし、我々好事家が求めるものは当然ながら<トリック>ではない。ここにひとつの大原則がある。それはつまり、「トリックを見破れない者は、真のオカルトに近づくことができない」ということである。オカルトを楽しむならば<トリック>はなんとしても見破らねばならない。その為には日ごろから手品などに慣れておき、トリックの基本のようなものを押さえておく必要がある。<メンタル・マジック>で脚光を浴びた<Mr.マリック>の手品の種をある程度推測できるくらいの能力は最低限必要だろう。非常に皮肉な話だが、唯物論者をしのぐ冷静さを持った者だけが、真にオカルトを楽しむことができるのである。これは実際に<魔術>を行っている(手品師ではない)魔術師にとっても同じである。<悪魔喚起>の術式を実行し、実際に目の前に<悪魔>が現れてさえ、それが自分の想像力が形成した内面的観念の幻視である、と判断するのが真の<魔術師>であり<オカルティスト>である。そしてその判断は実際に正しい。

キリスト教的教義のもとに体系付けられた修道院において、かつて幻視に耽溺して食を断ち、栄養失調のまま死亡した人間が存在することを考えれば、オカルティストにとっての<冷静さ>や<現実吟味能力>といったものがいかに重要なものなのかは言うまでも無い。

2005/2/13

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