占いと魔法とオタク
幻想自警団通信文Z

キリスト教と催眠法

キリスト教と催眠法

現代催眠の始祖、ミルトン・H・エリクソンはその催眠療法の中で、盲目の者の目に再び視力を回復(アンコモンセラピー/二瓶社:ジェイ・ヘイリー/p199)させ、脳卒中の後遺症で全身麻痺になっていた人間に対して、話し、歩く能力を回復させた(アンコモンセラピー/二瓶社:ジェイ・ヘイリー/p381)。

もちろんそれらは見えるはずのものが見えるようになり、動くはずのものが動くようになったというだけの話であり、真性の麻痺(例えば神経が断裂しているなど)では効果が無いのは言うまでも無いが、催眠によって、見えない、動かない、という<思い込み>が解消され、実際に見え、動くようになったのは事実である。

催眠の歴史を紐解くと、その起源は紀元前3766年(もちろん当時はまだ<催眠>などという考え方は存在しなかったが)のエジプトのパピルスに記述されている、宮廷で多くの奇跡を演じて見せたエジプトの魔術師<チッチャ・エム・アンク>に遡ると言われている(チッチャ・エム・アンクの功績を書き記したパピルスは大英博物館が所蔵しているというが、私は未確認)。また、古代エジプトには今で言う<催眠>を治療技術に応用した<眠りの寺院>と呼ばれる催眠療法施設のようなものがあり、その技術を発達させていたという事実もある。これらの技術は古代ギリシアにも伝わり、古代ローマへと伝播していった(図解雑学催眠/ナツメ社:武藤安隆)。しかし、それら催眠療法の技術は「奇怪なことにキリスト教時代の到来とともに絶滅してしまった(催眠力/白揚社:H・D・バーンズ/p52)」という。

催眠法のルーツはエジプトにある。しかもそれは<紀元前>からの話である。そしてキリスト教の出現と共に消えたという。

古代エジプトがローマ帝国に滅ぼされたと言っても、古代エジプト崩壊後からその後のイエスの登場まで実はまだ半世紀も経っていない。その技術がそのまま紀元後のエジプトに伝承されていたとしても、何ら不思議では無いのである。

私が何を言いたいのか、あえて言葉にはしないが、それを<妄想>してみることは面白いと思う。もちろんそれは<妄想>であって真実かどうかは不明である。

「理論編その3」へ戻る

「更なる深淵へ」の目次へ戻る

「占いと魔法とオタク」のホームへ戻る