幻想自警団(以下、幻自)で言うところの<ステートメント(statement)>とは、催眠法で言うところの<暗示文>であると言って良い。
幻自にはいくつかステートメントの唱え方にバリエーションがあり、そのうち応用的な二つをここで公開しておく。各自これを参考に研究してもらいたい。
幻自の術式の原理は<幻想状態>と<ステートメント>であることは既に述べたが、それを具体的に実現するのが以下の方式である。以下のようにいくつかのステートメントを順序良く<発声>することにより、意味が明確になり、ステートメントの効果が現れやすくなる。これが幻自の通常のステートメントの構成法(マルチ・ステートメント)である。
これでひとつの術式は終了である。あとはこれを繰り返して強化するか、あるいは完全に忘却して意識されない自己へ全てをゆだねるか、どちらかの方法で意識される自己から意識されない自己へと処理を移す。ここで意識される自己にいつまでもこのステートメントを持たせておくと、いつまでたっても意識されない自己にステートメントの実行が移行せず、術式が失敗に終わるので注意するように。
コツとしては、意識される自己から意識されない自己へステートメントが渡ったと感じたら、その時点で今唱えたステートメントを<忘れる>ことである。いつまでもステートメントを意識に持っていると、意識されない自己がそれを受け取ることができず、術式が失敗に終わる。意識しているものは意識されないものの制御を受けない。逆に意識されないものは、意識される自己の制御を受けない。これはコインの表と裏のようなもので、表が見えているときは裏に干渉できず、裏が見えているときは表に干渉できないのと良く似ている。上記の例で言えば、体の調子を整えるのは意識されない自己の能力であるので、ステートメントを唱えたらすみやかにそれを意識されない自己へと渡す必要があるのである。
次に、幻自独特のステートメント詠唱法を紹介する。洋の東西を問わず、催眠法の専門家の誰もが認めるであろう日常の生活の中に溶け込んだステートメント(催眠暗示)は、歌謡曲の歌詞であろう。美しい音とメロディー、それとリズムの中で語られる言葉は非常に強力なステートメントだと言える。誰もが皆、一度は音楽を聴きながら幻想空間に没入した経験があるはずだ。一般には認識されていないだろうが、それは催眠による幻想状態そのものである。
催眠術ショーを見ていると声の抑揚やテンポが普通の話し言葉と違い、一種独特なものであることに気が付くかもしれない。実はあれは、歌を聴かせて情感を揺さぶる行為に近似したものなのである。
ところで幻想自警団ではこの原理を応用して、ステートメントをある独特な抑揚で使いこなすことがある。それは例えば以下のようなものである。
良くわからない場合は百人一首の詠唱を思い浮かべてもらうと良い。
何を馬鹿なと思うかもしれないが、実はこの方法で詠唱したステートメントは不思議なことに、普通の話し言葉で唱えた言葉よりもステートメントとしての効き目が強いのである(カラオケで自分の歌に陶酔した経験がある人には理解できるかもしれない)。つまり、言葉として聞くステートメントより、歌として聴くステートメントの方が、意識されない自己にとっては受け入れやすい言葉になるということだ。そこから幻自ではステートメントを和歌(短歌)にして詠唱するという方法が取られることがある。
この場合、あらかじめステートメントを和歌の文字数に変換しておかないといけないため、ステートメントの言葉の選択に、ある程度のセンスが求められる。基本は7・5調だが、意味が正しく理解できる言葉で無いといけないため、多少困難な作業となるかもしれない。詠唱は歌に浸り切って自己陶酔するくらいに歌うと良い。良くわからない場合は百人一首の読み会などを参考にして、その感じをつかんでおいてもらいたい。
以下に、日頃の役に立ちそうなステートメントを和歌風にアレンジして紹介しておく。必要に応じて使ってもらいたい。
…結局これか…(--;
2005/5/3